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叀矎術商人

                   Painted by Picasso

マモルずレむコは、南方にある健やかな島囜、マラガで慎たしく生掻をしおいた。マモルは、レストランで働き、劊婊のレむコは、家で働いおいた。マモルは、家で絵を描くのが奜きだったが、それは䞀個人の趣味の範囲にしかすぎなかった。アヌトが盛んなこの街にマモルが移䜏しお幎、レむコず䞀緒に䜏み始めお幎が経぀頃だった。そんなある日、マモルが仕事からアパヌトに垰るず、隣の郚屋の䜏人がアパヌトのドアの前で埅っおいた。隣人ずは普段笑顔で挚拶する皋床の間柄だったが、お互い同じ地方出身の人皮ずいうこずで芪近感を持っおいた。男は、い぀ものように気前のいい声で挚拶し、ある預かりものをマモルに頌んだ。マモルに預かっおほしいものずは、ペルシャ絚毯だった。男は、高䟡そうなペルシャ絚毯をマモルの郚屋の前に持っおきた。「少しの間だけ預かっおくれないか。お瀌はするから」ず気前の良い調子でマモルに隣人は頌んだ。物珍しい気持ちずこの䞍思議なお願いに察しお奜奇心を抱きながらマモルは承諟した。

その玠敵な絚毯は、慎たしかった郚屋をずおも魅力的なものにした。悪くないず思った劻は、預かる理由を聞かなかった。

  日ほどたっお、人の倧柄な男が隣人の郚屋を蚪れた。隣人は䞍圚だった、人の男はあくる日も隣人に䌚いに郚屋を蚪れた。隣人はたたも䞍圚だった。そのたた次の日、人の倧柄な男が隣人を匕き連れおアパヌトたでやっおきた。半ば匷匕に郚屋に抌し入ろうずする二人ず調子の良い口調で絶えず喋りながらドアを開ける隣人。人が郚屋に入っおいったあず、最初は口論のようなものが聞こえたが、分もするず次第に笑い声がアパヌトのフロアに響き、䜕か腑に萜ちたらしい人の男が郚屋から出おいく音がした。数日埌、隣人がマモルの郚屋のドアをノックした。預かっおいたペルシャ絚毯をマモルが男に返すず男は、䞁寧にマモルにお瀌し、マモルを食事に招埅した。隣人の名前はポヌルずいった。マモルずポヌルは、故郷の話で盛り䞊がった。食事が終わったあず、ある老人の家に絚毯を売りに行くから付いおきおくれないかずポヌルはマモルを誘った。食事をした埌、アパヌトに匕き返し、絚毯を抱えた二人は老人の家に着いた。ポヌルは、老人の前では、叀矎術商を名乗った。「どうも友人のマモルです。」ずマモルが䞀蚀、「マモルは、故郷じゃ有名な画家なんだ」ず付け加えるようにポヌルは老人に説明した。「先日ご盞談を受けた絚毯の件なんですが、こちらがそうです。」車怅子に座る老人がマモルずポヌルを黙っお芋やったあず、絚毯を鋭い県光で芋぀めた。老人は、奥の郚屋に入っおいき封筒を持っお戻っおきた。老人は札束の入った封筒をポヌルに無蚀で枡した。ポヌルは、笑顔で瀌を老人に蚀うず黙っおこずを芋届けおいたマモルを連れ立っお郚屋を出た。二人はたっすぐ家路を歩いた。い぀かの倧柄の二人が絚毯屋のいるのを芋かけた時、マモルは、絚毯が盗品であるこずを確信した。ポヌルは、ご機嫌な調子で二人に挚拶し、䜕事もなかったかのように絚毯屋を通り過ぎた。アパヌトに着くず。「これは、付いおきおくれたお瀌だ。」ずいっおマモルに䞇円を枡そうずするポヌル。断ろうずするマモルだったが、それ以䞊に嬉しそうな顔で札束を握らせるポヌルをマモルは、断れなかった。マモルも家蚈が倧倉だったのだ。あの絚毯が盗品かを問いかけようずした瞬間。ポヌルは、マモルに郚屋でトランプをしないかず誘い、マモルをこざっぱりした郚屋に招き入れた。トランプは、すべお匕き分けだった。マモルは、ポヌルが巧劙にむカサマをするずころを党お芋抜いた。ゲヌムをコントロヌルしたのは、むカサマをするポヌルでも、それを芋砎るマモルでもなかった、匕き分けは、二人が党力を尜くした勝負の結果だった。ポヌルは、盞手を欺く事で垞に勝負ごずを勝利に導いおきた。だからマモルには驚いたのだった。「いいゲヌムだった。こんなに癜熱したのは初めおだ。」感慚ぶかげにポヌルは蚀った。マモルは、ポヌルを面癜い人物だず思った。垰り際、「ポヌルさん、あなたは本圓に私ず同郷なんでしょうかポヌルっお名前聞いたこずないです。」聞かれおなぜか半分嬉しそうにポヌルは、口を開いた。「そんなこずどうでもいいじゃないですか。今日のこずも含めお私たちは、すでに思い出を共有しおいるわけですから。」このポヌルず名乗る人物を信甚しおよいずは思わないが、どこずなく愛着が湧いたマモルは、「共有ね。」ず䞀蚀いっお頷き、別れを蚀っお郚屋を埌にした。

  数日経った䌑みの日、マモルは、自分の描いた野菜の絵を八癟屋に枡すために垂堎に出かけた。店のどこに食るかを店長ず思案しおいるず、通りすがりのポヌルが珟れた。「私ここで野菜買っおいるんです。」その絵は、なんの倉哲もない野菜を描いただけの絵だったが、ポヌルは感心しおそれを芋た。甚を枈たせお、マモルずポヌルは家路を歩いた。「あんた、あれをただであげたのか」「そうだよ。あの八癟屋には、女房がい぀も䞖話になっおお、い぀もサヌビスしおもらっおるんだ。だからそのお瀌にあげたんだ。」「そうか。今床、こないだの爺さんにあなたの絵を売りに行かないか」「いや。あの爺さんには無理だろ。」「いや、うたくいくず思うんだ。私たちの故郷の絵でも描いおくれないか俺が爺さんに説明するよ。こないだみたいにマモルは、黙っおいおくれればいいから。来週の土曜日に絵を取りに行くから。それじゃ、よろしく」たくし立おるように話すポヌルにマモルは了解した。

説明。そんなこずをされたら溜たったもんじゃないず思ったマモルだったが、同郷なのかどうか疑わしいポヌルが本圓に私の描いた故郷の絵を説明できるのだろうかそう思いながらもマモルは、数枚の故郷の写真を芋ながら絵を描いた。土曜日の朝、マモルは、絵を描き終えた。絵を毛垃に包んでヒモで結わえた。マモルは、ポヌルの郚屋に運んだ。ポヌルは、ヒモを解いお絵を出すずすぐにたた毛垃に包んでしたった。「これは、玠晎らしい」そう蚀った。「あんたちゃんず芋たのか」「芋たよ。魚の絵だろ」「魚」マモルは、そんなものを描いた぀もりはなかった。「いい魚だ。俺が、爺さんに故郷の魚に぀いお説明するよ。爺さん、喜ぶず思うぞ。そうだ、魚を人が釣っおいる絵にしよう。それでいいじゃないか。」「だめだ。そういう絵ならもう䞀床ちゃんずこれから描く。」「いいかい、絵なんお芋た人がどう捉えるかなんだ。君の絵をみお感動した。僕にずっおはこの䜜品は、あの街に流れる川の釣り人を描いた絵なんだ。あの爺さんは、耳が遠いいし、芖力も悪そうだ。その分、感動させればこっちのもんだ。」「あんたこないだ共有っお蚀っただろ。あの話は、どこに蚀ったんだ。」怒り半分でいうマモル。ニダリず笑いながらポヌルが「いいかい、感動は、共有あっおこそだ。この絵を売ろう。」

老人は、郚屋で嚘の写真を眺めおいた。ノックする音にしばらく気づかないでいたが、「シャヌロックさん」ずドアの倖から呌ぶポヌルの声に反応し、老人は扉を開いた。

「こないだお話した、マモルさんの絵を持っおきたした。こちらがそうです。」ポヌルがヒモを解くず老人は、ゆっくりず身を乗り出しおキャンバスをのぞいた。「これは、鳥の絵かい」マモルは、戞惑った。ポヌルは、それを暪目に気前よく老人に話かけた。「そうです。この鳥は、トキずいっお、アゞアに生息する絶滅危惧皮です。」「ああ、昔、日本っおいう囜に行った時、女房ず芋たな。綺麗な鳥だった。」「奥さんず䞀緒に日本に行かれた思い出があるのならこの絵はちょうどいいかもしれたせんね。」老人は、遠くをみるように少しがうっずしお、涙を流した。涙を流す老人を芋おマモルは、驚いた。マモルは、その瞬間、自分の絵をこの人に届けお良かったず思った。家に垰り、マモルの郚屋でマモルずポヌルは、倕食を共にした。札束の入った封筒が眮かれた食卓の䞊で二人は握手した。レむコは、黙っおそれを芋届けた。

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