
Journey to the future moon
一枚の絵がここにある。未来の月を描いたものだ。色とりどりの姿形をした生き物たちが月の基地を行き交っている。スライム状の体に甲殻状の手足が生えた生き物の親子連れ、二足歩行の哺乳類のように見えて、表面はサファイヤのように緑色に輝いている生き物の彼は、ウィンドーショッピングをしていて、黒光りする芋虫のような店員から黄色い酸素ボンベを紹介されている。黒い芋虫が「今年の流行りのお色は、黄色です」などといって酸素ボンベを紹介しているかたわらで、緑色の生物の恋人と思しき棒人間がケータイ電話をみて流行りの日光浴スポットを探している。 未来の月では、21世紀に生きた地球人たちの自伝映画鑑賞が流行っていて、21世紀の地球人を代表し、初めて宇宙連邦との協定書にサインしたスカーレット田中大佐の自伝映画がその年の全宇宙アカデミー賞の最高賞を獲得している。 スカーレット田中大佐の自伝映画とは、彼が生まれた時に網膜の奥に手術で埋め込まれたマイクロビデオカメラが捉えた映像が元になっていて。スカーレット田中が生まれてから死ぬまでにみた163年と214日8時間24分2秒間の全ての光