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キヨミ

January 8, 2020

(この文章は、フィクションです。)

 

いつも通う喫茶店でいつも通りコーヒーを飲んでしばらくパソコンで読み書きをしたあと、お会計をした。代金は、420円だったが、小銭が足りなかった。

 

その喫茶店は、創業68年の純喫茶と言われるタイプの場所で、スマホ決済もできなかった。駅のそばに位置するその場所は、地元の人々の憩いの場でもあったし、駅前の歓楽街のそばに位置していたため、得体のしれないカップルもたまにいれば、商談をしているテーブルもある。都会の中心に位置しているわけでもないが、それなりに便利で、地域住民もいれば駅前に立地するオフィスに通勤する人々もいるそのエリアの最も便利な場所にある創業68年の喫茶店は、いつもそれなりに賑わっていた。店内には、ジャズがかかっている時もあればクラシックもかかっている時もある。店長のその日の気分によって変わるのだろう。どのようにして音楽が選ばれているのかは謎だが、客たちの会話を遮るものでもなければ、大げさに盛り上げるものでもない。音楽のリズムとメロディーが店内を居心地のよい空間にかえる。緊張感の会話をしている男女のテーブルもあれば、熱心に商談をしている人々もいる。馬鹿話もたまに聞こえてくることもある。音楽によって少しかき消される他のテーブルのアツい会話からたまに漏れる単語が会話の冷めきったテーブルに飛び火して、その単語を元にそのテーブルを盛り上げたりすることもある。僕は、こういう雑多なノイズが聞こえてくる中で自由勝手気ままに自分の所定の位置に座ってパソコンで読み書きすることが好きだ。くそまじめな会話が聞こえたり、とんでもない会話が聞こえることもある。僕は、その喫茶店で自分の考えを整理したり、あれこれネットで情報収拾したり、読みかけの本を片手にヒントを探し、たまに周りを見渡しながら僕は、自分の生きている世界を意識して文章を書くことに勤める。だんだん、エンジンがかかってくると集中が研ぎ澄まされて、周りのことなんかどうでもよいくらいにタイプの速度が上がっていく。

 

その日は、いろいろと調べ物をしている途中にトイレに行った。店内の奥のほうにあるトイレに向かっていく通路の脇にたまに見かける若いカップルがいた。とても深刻な雰囲気だった。長いこと恋人のいない僕は、そういう光景をみてもなんとも思わないし、それなりに信頼できる異性の友人とたまに二人であってお茶したりするくらいで充分だ。最近、世間で流行っている「フリーランス」という職業とは呼べないような肩書きを持って世間を綱渡りしながら生きてきた20代後半の僕にとって、まだ結婚とかそういうものは、考えられない。もし仮に僕が大きな社会的成功を収めて、突然大きな収入が入り込んできたら話は、別かもしれないが、今のところそんな兆しはない。誰かを養えない男は、ちゃんとパートナーを見つけられないものだと思う。男女平等の時代ならカップルのお会計は、割り勘でもよいという意見もある。テーブルのお会計を誰がどのように支払うのかは、些細だがとても重要なことだ。友人なら割り勘でよいが、デートの場合は、どちらかというと僕は男が払うべきだと思う。それを事細かに説明する気はない。

 

先ほど僕は、「長いこと恋人のいない僕は、そういう光景をみてもなんとも思わない」と書いた。でも正直に言うと、こんな文章を書いている時点でなんとも思っているのだ。先月今までよりも大きな仕事をしたおかげで、僕の財布は、前より潤っている。財布にお金が入ると気前よく誰かを食事に誘ってみようかと思ったり、いろんなことを考える。このお金を使って何か心に残ることがしたいと思うのだがどんなことができるだろうかと考えてみた。誰かに何かをプレゼントするということもありだ。プレゼントをどうするか問題について誰もが一度は、悩んだことがあるはずだ。物で人を釣るのはよくないと母から諭されたことがある。ようは、気持ちがこもっていればよいのだと僕は思う。その日は、ある人にどんな気持ちでどんなものを渡そうかあれこれ考えていた。答えが見つからないまま、僕は、席から立ち上がり、レジまで向かった。
 

代金は、420円だったが、小銭が足りなかった。財布には、5000円札が入っていたので5000円札を店員に渡した。1000円札を4枚と580円の小銭のお釣りを僕は馴染みの店員からもらった。「ありがとうございました」と店員は、快活に僕に言った。財布に1000円札をしまおうとすると1枚のお札に異変があることに気付いた。なんだろうと思い、そのお札を広げて見てみると、野口英世の肖像の脇に「キヨミちゃんへ ❤️」と書かれていた。プレゼントについて熱心に考えていた僕だったが、それを見てありゃまと思った。残念なものをみた気になったが、あまりの節操の無さに可笑しくなった。このプレゼントを渡されたキヨミちゃんは、結局使ってしまったのだろう。やはりずっとそばに置いておけるものを僕は誰かにプレゼントしたい。

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