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あの子の名前


2019年教養のエチュード賞出品作品

プレーヤー 男1人 女1人 ルール 

架空の赤ちゃんの名前を決めて、その名前を決めるに至った由来となる男女の会話を想像する。

あそび方の例

鉄男くんの名前の由来

女「あなたの硬いの好きよ。」

男「この子にもそうなってほしい」

仮くんの名前の由来

男「この子に名前を付けるなんて無理だ。こいつは、まだ人間じゃない。」

女「大人になって自分で考えるのが理想なんじゃない?」

自由くんの名前の由来

男「この子に名前なんてつけたくない。名前なんてつけたら、名前の意味に一生束縛されちゃうじゃないか。」

女「勝手にして」

愛ちゃんの名前の由来

男「愛してるよ。」

女「私も。」

 私は、独身だ。もっと男を磨いて、いいパートナーを見つけて結婚してこのゲームを楽しみたいと思っている。新石器革命がおきた時代に童貞のまま死んでいく人が急激に増えた事をミトコンドリアのデータに基づいて証明する論文がある。割合として17人のうち1人しか生殖をして自分の遺伝子を次世代に残せた男がいないらしい。人口が増えていたことは、分かっているらしく、文明の進歩によって生じた男性の競争社会の激化が原因だとその論文は、結論づけている。

ある有名大学のダンスサークルのリーダーと会った時、女性と付き合ったことがないことを平然と語っていた。彼のような人が最近とても多いという事を聞くことがある。べつに童貞のままでいいですという若い男性も多い。その意味では、新石器時代の社会と変わらない事が一部で起きているのかもしれない。男女が付き合わないのには、いろいろと理由があるかもしれない。経済が下り坂の日本で安定した未来を想像できないからなのか、刺激の多いものに接し続けていて、他人に興味が湧かない体質になってしまったのか、いろいろと見解はあると思う。容姿も思考力も社会的ステータスもそれなりにある人間でも恋愛という人間らしいコミュニケーションの積み重ねが欠落しているのは、なぜだろうか。恋愛が上手な人は、間違いなくコミュニケーション能力が高い。コミュニケーション能力を発達させるには、やはり経験と知性の両方を育まなければならないと思う。そして腹を割って話さない限り、濃密なコミュニケーションは生まれない。人の信頼を勝ち取るには、自己開示する勇気が必要だし、幸せになりたいという欲望が強くないと一歩前に進めない。

パートナーを見つけられる事が出来るかどうかの結果は別として、自分と違う価値観の人とうまく触れ合うスキルがあればきっと人生を楽しく歩めるはずだ。他人の置かれた環境を理解し、想像し、心から敬う事ができればその人と仲良くなれるはずだ。 人は、イメージできないことは、行動に移さない。なかなか子供が生まれないこの社会で必要なことは、愛の営みの先に誕生する成果をポジティブにイメージすることだ。熾烈な競争社会は、きっとこれからも過酷になっていくだろう。技術は、進化しているようでいて、全体的には後退していく(かもしれない)日本社会において、子供の誕生は、贅沢なものになってきている。でも自分を卑下しないで胸を張って人と話したり、笑ったりすると楽しくなる。人間社会は、優劣を決めたがるものだが、全ての生命は、等価にあるはずだ。もしあなたがこの文章を面白いと思ってくれた瞬間があったとしたら、あなたと私は、同じ思いを共有したのだ。コミュニケーションが楽しくなれば、一緒に世界を作ることが出来る。どんなに世の中が難しくても私たち個人同士の信頼と調和があれば前進する事が出来るはずだ。あなたが心から会話を楽しめる相手とこのゲームをやってください。 文 青木優太 タイポグラフィー 酒井一馬

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